2018.01.22 Monday
HK33の腰下耐久性強化:Phase-2
ここのところ製品開発や製造にかまけてばかりです。
────ボウコウの落書き───
ウチの商品はどれもこれもロングセラーばかりなので、品目は増える一方。
そのくせ数はさっぱり出ないという。
しかも在庫切れの商品ばかり狙ったかのように注文が来ます。
おかげさまで、工場の中は製造中の部品や完成在庫であふれかえっている
ありさまです。
開発方針どころか生きざまも狭く深くなので、当然ちゃ当然なのですが。
────ボウコウの落書き───
かと言って持込みの作業が無くなったわけでもないので、地味にこなしてます。
色々やっちゃいるんですが、お手軽なTwitterなどでお茶を濁す日々。
ここの所ブログもサボりっぱなしだったので、気合入れて書いてみました。
本日はHK33・・・いいじゃんHK33好きなんだから!
────ボウコウの落書き───
ウチの商品はどれもこれもロングセラーばかりなので、品目は増える一方。
そのくせ数はさっぱり出ないという。
しかも在庫切れの商品ばかり狙ったかのように注文が来ます。
おかげさまで、工場の中は製造中の部品や完成在庫であふれかえっている
ありさまです。
開発方針どころか生きざまも狭く深くなので、当然ちゃ当然なのですが。
────ボウコウの落書き───
かと言って持込みの作業が無くなったわけでもないので、地味にこなしてます。
色々やっちゃいるんですが、お手軽なTwitterなどでお茶を濁す日々。
ここの所ブログもサボりっぱなしだったので、気合入れて書いてみました。
本日はHK33・・・いいじゃんHK33好きなんだから!
おそらく世界中探しても2018年現在でHK33のチューニングや研究開発をしている
のはウチだけだと思うのですが、その影響もあってか、昨年の夏から秋にかけて
HK33の持ち込みチューニング依頼がやたら増えました。
当工房の定番メニューであるチャンバーまわりの改良は当然として、ここ半年の
問い合せで特に多かったのが
・モータードライブ時にスプリングが最後まで引ききれない
というもの。
トリガーシアーにピストンが掛かる前に止まってしまうという症状です。
元々HK33のスプリングはマルイ系電ガンより長いものを使っているので各部への
負荷が大きいのですが、これまで手掛けたチューニングでは1Jレベルのパワー
アップならリポバッテリがあれば充分駆動するシロモノでした。
当初この問い合わせは、過去当工房が手がけた個体のオーバーホール案件でした。
このため、軸受をメタルに打ち替えたことによるフリクションロスの増大を心配
したのすが、そのうちノーマルでも同様の問い合わせが増えてきて、気が付けば
症状は2ケタに達する勢いに。
おそらくこれは経年変化と連続使用によるモーターの消耗/劣化です。
発売時期から考えても、そろそろモーターが劣化しかけててもおかしくない。
モーターは使い続けると
1:永久磁石の磁力低下
2:コイル被膜の剥離/溶解によるショート
3:ブラシの摩耗
4:軸受の消耗
等が原因で性能(トルク/回転数)が低下します。
※ちなみにラジコンのワークスチームなどは、レースが終わる度にモーターを
バラして着磁機で永久磁石の磁力を復活させるくらいのことはやってます。
マルイ系の電ガンは純正をはじめとして、アフターパーツが充実しているため
モーターの入手/交換が容易ですが、HK33の場合、モーターを交換する場合は
KSCのアフターサポートに頼るよりほかに方法はありません。
(少なくとも一般ユーザーはそうでしょ)
とはいえ正直KSCの部品供給はいつ途絶えるか不安だし、純正モーターのパワー
にも少々不安があるので・・・としばらく考えていたところ・・・。
KSC純正
マルイ系の社外品(LONEX)
を?
これ、いけんじゃねえの?
よくよく調べてみたら、軸長も端子形状もおんなじ!
※端子の接続はKSCの場合ネジと共締めになってます。
(どーせどっちも○○○マイクロあたりで作ってんだろ?)
あとはピニオンギアですが、HK33のピニオンはマルイ系とピッチが異なるので、
純正をピニオンギアプーラーで付け替えればOK。
HK33にモーター交換の光明が・・・!
が。
HK33のピニオンギアは内径がわずかに大きく、社外品のモータに取り付けると、
軸がスカスカで固定できませんでしたorz
世の中にあるすべてのモーターで試したわけではないのですが、そこまでやると
キリがないし、折角のモーター入手性が損なわれます。
ピニオンギアのどてっ腹にタップを立ててD軸のモーターにイモネジで固定しち
まうかとも考えたのですが、くそ硬えピニオンギアに下穴を開けてタップを立て
るという作業のリスクと手間を考えたら、一気にやる気がなくなりました。
しかしここで諦める当工房ではありません。
(久しぶりだなこのフレーズ)
ピニオン交換できねえならベベルごと移植してやらあ!
元々HK33のベベルギア(コンビネーションギア)はピッチが細かいせいか
トルク耐性に乏しく、ノーマルでも簡単に歯飛びや欠け/摩耗が起きます。
※ぶっ壊れて交換した歴代コンビネーションギアども
※削れたギアの金属粉がこびりついたメカボ
マルイ系ギアならKSC純正と比べてピッチが粗いので、少々の負荷にも負けずに
ドライブしてくれるから、移植すれば一石二鳥。あったまいい!
何より価格が安いのもありがたい。(KSC純正は2000円)
※Vショーに遊びに来た知り合いに嬉々としてこのプランを話したところ
「何を言ってんだコイツは?」みたいな顔をされました。
というわけで、早速ベベルギアを比較してみたのですが。
・・・。
やっぱりそうなるよな。
マルイ系のベベルギアと比べKSCのそれは外径が大きいため、メカボに収まり
ません。
さらに軸長が若干短いため、スパーギアと高さが合わない!
それ以前に軸受に掛かる軸の懐が浅くなるので強度の不安があります。
これはなかなか歯ごたえがありそうな開発になりそうです。
とりあえず3日ほどのた打ち回ってから、ひとつづつ問題を潰していくことに
しました。
整理すると、問題は以下の3つになりました。
・ベベルの直径差
・軸長の違い
・スパーギアとのバックラッシュ
・ベベルの直径差
→これは比較的簡単に解決しました。
小さければ移植は困難ですが、大きい分には削ってしまえばOK
旋盤加工+αで小径化を施します。
加工自体は簡単ですが、鉄製なので少々めんどくさいです。
・軸長の違い
→もともと当工房のチューニングメニューの軸受の打ち替えでは、
マルイ系軸受がメカボックスに収まるようにするために軸受の
フランジを削り落としていたのですが、これを無加工のまま
圧入することにより、軸受が若干内側にせり出します。
軸受と軸の掛かりだけを浅くせずに、メカボックスの掛かりも
若干浅くすることで、負荷を分散させます。
→あとはシムを多めに放り込んで、ベベルの適正位置を出せば
OKです。
→対スパーとの高さ合わせは得意の変態加工で乗り切ります。
逆転防止ラッチは使用しないので、各部との干渉さえ避けて
おけば問題ありません。
・スパーギアとのバックラッシュ
→マルイ系汎用ベベルの対スパーの歯数は殆どが10歯です。
しかしこの状態ではHK33のスパーに対して外径が小さすぎる
ため、バックラッシュが大きすぎます。
届くには届きますが、ロクなことにならなそうです。
→ギア比についてはモーターのスペックである程度調整が効き
ますので、バックラッシュを適正化して耐久性を確保しなけ
ればなりません。
しかしマルイ系ベベルギアで対スパー側の歯の数が大きい
ギアと言うものは殆ど存在しません。
取引先に片っ端から聞いても、Siegetek Conceptsなどの
すさまじく高いギアしか出てきませんでした。
(それでも11歯なので足りません)
そもそも入手性を高めなければ交換の意味が半減するので、
どうしたもんかと考えていたら・・・
あ。
そうだよ。コイツのギアって専用設計でサイクル高めだったよ。
調べてみたところ、対スパーの歯数は「12」。
スパーに合わせたところ、バックラッシュもバッチリ適正。
(シム調整などよりバックラッシュの方が遥かに大事よね)
無事ブレイクスルーが得られましたので、一気にメカボを組み上げました。
作動映像はこちら。
よしよし。
サイクルもに不自然な感じはないので結果オーライ。
スプリングはノーマルですが、いきなりハイレートスプリングでドライブする
と、問題が出たときにトラブルシュートが難しくなるので、まずはモーターと
ギアの動作検証からこなしていきます。
ちなみにギアの歯数変化は以下の通り。
[ノーマル]
ピニオン 14歯
ベベル 38歯
対スパー 12歯
[マルイ系交換後]
ピニオン 10歯
ベベル 30歯
対スパー 12歯
以上から減速比は
ノーマル:交換後=2.71:3
と言う計算になります。
サイクルだけで見ると10%程度の減速(トルクアップ)です。
普通のベベルを使用するとさらに減速されるので、FA-MAS用ベベルが使用でき
たことは逆に幸いだったかもしれません。
この程度の差ならモーターを高回転型に変更することで吸収できるので、十分
セッティングの範囲内ということになります。
そもそもボウコウはローサイクル派なので、ハイサイクルに興味はありません。
サイクル上げるとメカに負担が掛かるので好きじゃないのよね。
それにスプリングが巻き上がらないのはモーターのトルク不足が原因なわけで
すから、トルクが上がる方向にギア比がずれたのはむしろ喜ばしいことです。
腰上がノーマルのままなので、スプリング交換等を施した際にサイクルがどの
くらい変化してくるかによって、モーターの選定基準やチューニングの方針を
決めていくことになります。
これにより
・モーター交換の選択肢
・ベベルギアの耐久性向上
・パワーアップ時のトルク不足解消
のメリットが得られます。
HK33メカボックスのチューニングの可能性が更に広がりました。
まだまだ十分戦えます。
あとはFA-MAS用ベベルの入手性だよなあ。
絶版ではないもののほとんど流通してないから、マルイからパーツが出てくる
か心配です。
チューニングの方針は決まりましたので、検証が終わり次第レギュラーメニュー
に昇格させます。
(その前に溜まった修理依頼にコイツを全部盛り込まないとね)
のはウチだけだと思うのですが、その影響もあってか、昨年の夏から秋にかけて
HK33の持ち込みチューニング依頼がやたら増えました。
当工房の定番メニューであるチャンバーまわりの改良は当然として、ここ半年の
問い合せで特に多かったのが
・モータードライブ時にスプリングが最後まで引ききれない
というもの。
トリガーシアーにピストンが掛かる前に止まってしまうという症状です。
元々HK33のスプリングはマルイ系電ガンより長いものを使っているので各部への
負荷が大きいのですが、これまで手掛けたチューニングでは1Jレベルのパワー
アップならリポバッテリがあれば充分駆動するシロモノでした。
当初この問い合わせは、過去当工房が手がけた個体のオーバーホール案件でした。
このため、軸受をメタルに打ち替えたことによるフリクションロスの増大を心配
したのすが、そのうちノーマルでも同様の問い合わせが増えてきて、気が付けば
症状は2ケタに達する勢いに。
おそらくこれは経年変化と連続使用によるモーターの消耗/劣化です。
発売時期から考えても、そろそろモーターが劣化しかけててもおかしくない。
モーターは使い続けると
1:永久磁石の磁力低下
2:コイル被膜の剥離/溶解によるショート
3:ブラシの摩耗
4:軸受の消耗
等が原因で性能(トルク/回転数)が低下します。
※ちなみにラジコンのワークスチームなどは、レースが終わる度にモーターを
バラして着磁機で永久磁石の磁力を復活させるくらいのことはやってます。
マルイ系の電ガンは純正をはじめとして、アフターパーツが充実しているため
モーターの入手/交換が容易ですが、HK33の場合、モーターを交換する場合は
KSCのアフターサポートに頼るよりほかに方法はありません。
(少なくとも一般ユーザーはそうでしょ)
とはいえ正直KSCの部品供給はいつ途絶えるか不安だし、純正モーターのパワー
にも少々不安があるので・・・としばらく考えていたところ・・・。
KSC純正
マルイ系の社外品(LONEX)
を?
これ、いけんじゃねえの?
よくよく調べてみたら、軸長も端子形状もおんなじ!
※端子の接続はKSCの場合ネジと共締めになってます。
(どーせどっちも○○○マイクロあたりで作ってんだろ?)
あとはピニオンギアですが、HK33のピニオンはマルイ系とピッチが異なるので、
純正をピニオンギアプーラーで付け替えればOK。
HK33にモーター交換の光明が・・・!
が。
HK33のピニオンギアは内径がわずかに大きく、社外品のモータに取り付けると、
軸がスカスカで固定できませんでしたorz
世の中にあるすべてのモーターで試したわけではないのですが、そこまでやると
キリがないし、折角のモーター入手性が損なわれます。
ピニオンギアのどてっ腹にタップを立ててD軸のモーターにイモネジで固定しち
まうかとも考えたのですが、くそ硬えピニオンギアに下穴を開けてタップを立て
るという作業のリスクと手間を考えたら、一気にやる気がなくなりました。
しかしここで諦める当工房ではありません。
(久しぶりだなこのフレーズ)
ピニオン交換できねえならベベルごと移植してやらあ!
元々HK33のベベルギア(コンビネーションギア)はピッチが細かいせいか
トルク耐性に乏しく、ノーマルでも簡単に歯飛びや欠け/摩耗が起きます。
※ぶっ壊れて交換した歴代コンビネーションギアども
※削れたギアの金属粉がこびりついたメカボ
マルイ系ギアならKSC純正と比べてピッチが粗いので、少々の負荷にも負けずに
ドライブしてくれるから、移植すれば一石二鳥。あったまいい!
何より価格が安いのもありがたい。(KSC純正は2000円)
※Vショーに遊びに来た知り合いに嬉々としてこのプランを話したところ
「何を言ってんだコイツは?」みたいな顔をされました。
というわけで、早速ベベルギアを比較してみたのですが。
・・・。
やっぱりそうなるよな。
マルイ系のベベルギアと比べKSCのそれは外径が大きいため、メカボに収まり
ません。
さらに軸長が若干短いため、スパーギアと高さが合わない!
それ以前に軸受に掛かる軸の懐が浅くなるので強度の不安があります。
これはなかなか歯ごたえがありそうな開発になりそうです。
とりあえず3日ほどのた打ち回ってから、ひとつづつ問題を潰していくことに
しました。
整理すると、問題は以下の3つになりました。
・ベベルの直径差
・軸長の違い
・スパーギアとのバックラッシュ
・ベベルの直径差
→これは比較的簡単に解決しました。
小さければ移植は困難ですが、大きい分には削ってしまえばOK
旋盤加工+αで小径化を施します。
加工自体は簡単ですが、鉄製なので少々めんどくさいです。
・軸長の違い
→もともと当工房のチューニングメニューの軸受の打ち替えでは、
マルイ系軸受がメカボックスに収まるようにするために軸受の
フランジを削り落としていたのですが、これを無加工のまま
圧入することにより、軸受が若干内側にせり出します。
軸受と軸の掛かりだけを浅くせずに、メカボックスの掛かりも
若干浅くすることで、負荷を分散させます。
→あとはシムを多めに放り込んで、ベベルの適正位置を出せば
OKです。
→対スパーとの高さ合わせは得意の変態加工で乗り切ります。
逆転防止ラッチは使用しないので、各部との干渉さえ避けて
おけば問題ありません。
・スパーギアとのバックラッシュ
→マルイ系汎用ベベルの対スパーの歯数は殆どが10歯です。
しかしこの状態ではHK33のスパーに対して外径が小さすぎる
ため、バックラッシュが大きすぎます。
届くには届きますが、ロクなことにならなそうです。
→ギア比についてはモーターのスペックである程度調整が効き
ますので、バックラッシュを適正化して耐久性を確保しなけ
ればなりません。
しかしマルイ系ベベルギアで対スパー側の歯の数が大きい
ギアと言うものは殆ど存在しません。
取引先に片っ端から聞いても、Siegetek Conceptsなどの
すさまじく高いギアしか出てきませんでした。
(それでも11歯なので足りません)
そもそも入手性を高めなければ交換の意味が半減するので、
どうしたもんかと考えていたら・・・
あ。
そうだよ。コイツのギアって専用設計でサイクル高めだったよ。
調べてみたところ、対スパーの歯数は「12」。
スパーに合わせたところ、バックラッシュもバッチリ適正。
(シム調整などよりバックラッシュの方が遥かに大事よね)
無事ブレイクスルーが得られましたので、一気にメカボを組み上げました。
作動映像はこちら。
よしよし。
サイクルもに不自然な感じはないので結果オーライ。
スプリングはノーマルですが、いきなりハイレートスプリングでドライブする
と、問題が出たときにトラブルシュートが難しくなるので、まずはモーターと
ギアの動作検証からこなしていきます。
ちなみにギアの歯数変化は以下の通り。
[ノーマル]
ピニオン 14歯
ベベル 38歯
対スパー 12歯
[マルイ系交換後]
ピニオン 10歯
ベベル 30歯
対スパー 12歯
以上から減速比は
ノーマル:交換後=2.71:3
と言う計算になります。
サイクルだけで見ると10%程度の減速(トルクアップ)です。
普通のベベルを使用するとさらに減速されるので、FA-MAS用ベベルが使用でき
たことは逆に幸いだったかもしれません。
この程度の差ならモーターを高回転型に変更することで吸収できるので、十分
セッティングの範囲内ということになります。
そもそもボウコウはローサイクル派なので、ハイサイクルに興味はありません。
サイクル上げるとメカに負担が掛かるので好きじゃないのよね。
それにスプリングが巻き上がらないのはモーターのトルク不足が原因なわけで
すから、トルクが上がる方向にギア比がずれたのはむしろ喜ばしいことです。
腰上がノーマルのままなので、スプリング交換等を施した際にサイクルがどの
くらい変化してくるかによって、モーターの選定基準やチューニングの方針を
決めていくことになります。
これにより
・モーター交換の選択肢
・ベベルギアの耐久性向上
・パワーアップ時のトルク不足解消
のメリットが得られます。
HK33メカボックスのチューニングの可能性が更に広がりました。
まだまだ十分戦えます。
あとはFA-MAS用ベベルの入手性だよなあ。
絶版ではないもののほとんど流通してないから、マルイからパーツが出てくる
か心配です。
チューニングの方針は決まりましたので、検証が終わり次第レギュラーメニュー
に昇格させます。
(その前に溜まった修理依頼にコイツを全部盛り込まないとね)